内分泌科病棟での看護師勤務を経て、企業内の産業保健師となり
長年ご活躍されてきました。
現在は複数の企業と契約し健康管理室の立ち上げや従業員面談
などの健康支援業務に取り組んでいらっしゃいます。
看護師として内分泌科の病棟で糖尿病患者さんの予防教育、教育入院を担当していたことが保健師に興味を持ったきっかけです。当初は行政の保健師を目指していたのですが、産業保健師求人を紹介してもらえたので企業に就職しました。
メールや書類の作成に不慣れでしたが、紹介会社のコーディネーターが履歴書や職務経歴書を添削してくれ、手厚くサポートしていただきました。
一人職場だったので、孤立しないよう他の企業の保健師たちが集まる勉強会やさんぽセンターの研修に参加していました。何もわからないながらに情報収集に努めていました。
最初の職場は、内科、精神科の産業医が一人ずつ在籍しており、先生の面談にすべて同席させていただきました。一人ずつ面談の後に、先生のフィードバックを解説していただき、大変学びになりました。
大変だったことは、駆け出しのころは従業員側に立ちすぎてしまい、会社に「なぜこうしてくれないの」と戦いを挑むようなスタンスでよく葛藤していたことでしょうか。
例えば休職復職対応は従業員の立場に立つだけではうまくいかず、職場の理解が必要です。受け入れ側も準備をしないと復職後うまくレールに乗っていくことができないです。会社組織や立場などを理解するにつれ、支援する姿勢が変わっていきました。
よかったエピソードは、企業では職場健診が年1回必ずあるため、健診結果を確認しながら疾病予防ができたり、従業員と会話をする機会が多かったりという状況で、ある従業員には薬を飲まずにコントロールしていく提案ができたことです。
がんの治療をしながら働く従業員には医務室にいることで就業中にケアができ、治療しながらどうやって働いていくのかも間近で見させていただきました。
産業保健師は従業員の家族背景だったり、その人の会社での立ち位置だったりが見える中で、その人ができそうなことを提案できます。理想論を押し付けない環境はすごくいいですね。
業務委託契約をいくつかの企業と結び、保健指導や会社の健康管理室の立ち上げに関わっています。
そのときのライフスタイルに合わせた働き方ができるのが、資格を持っている強みです。業務委託は時間の融通が利くので、家庭との両立ができています。
専門的な知識だけでなく、社会人マナーも必要とされていると思います。スキルがあり仕事ができることも大事かもしれませんが、周囲とコミュニケーションをとり、組織になじめることも重要だと思います。
はい。前職と比較することなく、その職場の文化を理解しようとすれば、その組織での自分の居場所は見えてくると思います。
「背伸びせずいつでも挑戦していく自分」で年を重ねていくのが目標です。与えられたものをこなすだけでなく、自分から提案や発信していきたいですね。30代のときに受けた採用試験の最終選考で落選したことがありました。採用された保健師が50代の方と聞いたときに「50代になっても正社員で採用される」ということが、逆に自信になりました。
「変わりたい、転職したい」と考えたら、前職と比較するのではなくまったく新しい気持ちで飛び込んだらいいと思います。わからないことは学びながら、そして周りの人に聞きながらぜひ取り組んでみてください。応援しています。